
※当サイトでは今後アフィリエイト広告を掲載する場合があります。この記事は、僕自身の自己破産経験と公的情報をもとにした一般的な内容です。借金額、収入、財産、借金の理由、家族構成、裁判所の運用などによって判断は変わります。具体的な判断は、弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。
借金が940万円まで膨らんでいても、翌朝になれば僕は普段どおり会社へ向かっていました。
僕は中小の印刷会社で、DTPオペレーター兼デザイナーとして働き、制作部の係長を務めていました。仕事では予定を組み、判断し、周囲に指示を出す立場です。それなのに、私生活ではパチンコ・パチスロなどのギャンブルやFX、浪費を重ね、自分のお金を管理できなくなっていました。
会社に知られたら、信用も役職も仕事も失うのではないか。そんな恥と恐怖があり、返済ができない現実を認めるまで時間がかかりました。
それでも、僕は会社を辞めず、働きながら自己破産の準備を進めました。ただし、会社とまったく接点を持たずに終えたわけではありません。勤務先と関係の深い金融機関の口座に問題が生じ、最終的には総務担当の取締役1名に事情を伝えています。
この記事では、会社員への法律上の影響を網羅するのではなく、僕が実際に仕事と手続きをどう両立したのか、会社へ何を伝え、どんな不安を抱えていたのかを中心に書きます。
※この記事は僕の体験を中心にした一般的な情報です。必要書類、会社への説明、休暇、退職金や給与の扱いなどは、勤務先の制度、職種、債権関係、申立先の裁判所、個別の事件によって異なります。具体的な対応は、依頼する弁護士や申立先の裁判所へ確認してください。
- 僕は制作部の係長として働きながら、借金940万円の自己破産手続きを進めました。
- 自己破産の事実だけで、すべての会社員に一律の自己申告義務があるとはいえません。
- 勤務先が債権者である場合や、給与差押え、退職金資料、資格制限などで会社が関係することはあります。
- 僕は勤務先と関係の深い金融機関の口座対応のため、総務担当の取締役1名へ事情を伝えました。
- 管財人面談と債権者集会では有給休暇を使いましたが、休暇理由は記録に残っていません。
- 免責許可決定の連絡後も同じ会社で働き、仕事は生活を立て直す基盤になりました。
1係長として働きながら
自己破産することが
怖かった
1仕事では管理する側なのに、自分のお金を管理できなかった
僕は印刷会社で長く働き、制作部の係長を務めていました。
DTPオペレーター兼デザイナーとして制作をしながら、係長として周囲の仕事にも目を配る立場です。仕事中は納期や品質を考え、必要な判断をしていました。
ところが、会社を離れた僕は借金を止められませんでした。返済のために別の借入れを使い、毎月の支払いを先送りし、最後には940万円まで膨らませました。
係長という肩書きがあるぶん、恥ずかしさは強くなりました。日記にそのままの言葉が残っているわけではありませんが、当時の僕は、仕事上の評価と私生活での失敗を切り分けられていなかったのだと思います。
会社に知られたら、これまで積み重ねた信用が一度に崩れる。自己破産をした人間が、責任のある立場にいてよいはずがない。そんなふうに自分を追い込んでいました。
2会社員で収入があるから、まだ返せると思い込んだ
毎月給料が入ることは、本来なら生活を支える大切な基盤です。しかし当時の僕にとっては、返済不能を認めない理由にもなっていました。
会社員なのだから、給料とボーナスでいつか立て直せる。次の給料日までしのげば何とかなる。そう考えては、借金の総額と利息から目をそらしていました。
安定収入があることと、現実に返済を続けられることは同じではありません。僕はこの区別ができず、相談を遅らせました。
会社へ知られる恐怖は、返済不能を認めるのを遅らせた理由の一つでした。

2会社を辞めずに
手続きを進めると
決めた
1退職や転職を具体的に決めていたわけではない
僕は、自己破産するなら会社を辞めなければならないと正式に決めていたわけではありません。転職活動を始めた記録も残っていません。
ただ、会社に知られれば今の立場にはいられないのではないか、仕事まで失うのではないかという恐怖はありました。そのため、自己破産と現在の仕事が両立するのかを確かめないまま、頭の中では雇用まで終わるように感じていました。
実際には、収入を失えば家賃や生活費を払うことが難しくなり、手続きの準備も生活再建もさらに不安定になります。
僕の場合は、感情だけで退職を決めず、今の仕事を続けながら進めることになりました。
就職・転職や資格制限の一般的な考え方は、こちらの記事で整理しています。
自己破産後の就職・転職と資格制限についてはこちら
2仕事があることは負担であり、支えでもあった
平日は仕事があり、帰宅後や休日には通帳、取引履歴、家計の資料を確認する。やることが重なると、仕事が忙しいことを理由に書類から逃げたくなる日もありました。
一方で、毎日決まった時間に出勤し、制作の仕事に向き合う時間があったからこそ、借金のことだけを一日中考えずに済みました。給料が入ることで生活費も確保できました。
働き続けることは、自己破産から逃げることではありませんでした。僕にとっては、生活を壊さないまま法的手続きを進めるための土台でした。

3弁護士相談と仕事を
どう両立したか
1最初に弁護士事務所を訪れたのは2023年7月29日
僕が弁護士事務所を初めて訪れたのは、2023年7月29日です。初回相談日に有給休暇や半休を使った記録は残っていません。
相談では、借金が940万円あること、パチンコ・パチスロなどのギャンブルやFX、浪費が借金の原因に含まれることを伝えました。
この日からすぐに気持ちが軽くなったわけではありません。依頼した後も、会社へ知られるのではないか、必要書類を集められるのか、管財事件になれば仕事へどれほど影響するのかという不安は残りました。
2連絡や書類提出を仕事の予定と並行して進めた
弁護士事務所からの連絡は、電話やメールで届きました。2024年1月28日には、追加で必要な通帳や家計の資料について連絡があり、2月9日までに準備することになりました。
日記には、平日は仕事があるため時間が限られていることが書かれています。2月9日に資料を郵送した後も、家計の収支が合わず、2月13日に修正の連絡が来ました。
仕事をしているから提出期限が延びるわけではありません。職場の納期と、弁護士から求められる期限の両方を気にしながら進めることは、想像していた以上に疲れました。
僕が会社のパソコンや会社のメールを使わなかったか、勤務時間中の私用電話をどう扱ったかまでは記録で確認できません。
一般的な工夫としては、私用の電話番号とメールアドレスを使い、連絡を受けられる時間帯や、職場への電話を避けたい事情を相談先へ先に伝えておくと整理しやすいと思います。
勤務先の情報機器へ私的な債務整理資料を保存しないことも、プライバシー管理の面で検討できます。

4会社へ自己破産を
伝える必要が
あるのか悩んだ
1すべての会社員に共通する一律の答えはない
自己破産したことだけを理由に、すべての会社員が勤務先へ自己申告しなければならないという一律のルールがあるとはいえません。
就業規則、資格、勤務先との債権関係などを個別に確認する必要があります。
裁判所の案内では、破産手続開始決定の通知を受ける相手として債権者が示されています。僕が確認した公的資料では、勤務先が債権者ではなく、給与差押えなどもない場合に、雇用主という理由だけで当然に通知先になるという案内は確認できませんでした。
ただし、勤務先が債権者である場合や、給与差押えによって勤務先が第三債務者になる場合は別です。
▶︎参考:裁判手続 民事事件Q&A、破産手続|裁判所
具体的には、次のような事情があれば会社との接点が生じます。
- 勤務先や社内制度から借入れがあり、会社が債権者になる
- 給与が差し押さえられ、勤務先へ差押命令が届く
- 退職金見込額など、会社に関係する資料が必要になる
- 破産手続中の資格制限が業務に関係する
- 就業規則や社内規程に確認すべき定めがある
僕のように、勤務先と関係の深い金融機関が債権者となっているケースもあります。
会社への通知、解雇、給料、退職金などの一般的な影響は、こちらの記事で詳しく解説しています。
会社員が自己破産した場合の法律上の影響についてはこちら
2自己破産だけで解雇が自動的に決まるわけではない
僕は、会社に知られたらすぐに解雇されると思っていました。しかし、自己破産したという事実だけで雇用が自動的に終了する制度ではありません。
一方で、どのような事情でも解雇されないと断定することもできません。
実際の判断では、職種、資格、業務への影響、就業規則、ほかの行為の有無など、個別事情が関係します。労働契約法16条は、解雇について客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を求めています。
▶︎参考:合理的な理由のない解雇と労働契約法|厚生労働省
僕の場合、自己破産を理由とする解雇、降格、配置転換、懲戒処分は確認できませんでした。
ただし、これは僕の勤務先での結果であり、すべての会社へそのまま当てはめることはできません。
5給与・退職金など
勤務先に関係する
資料を集めた
1見つからない給与明細があり、総務へ再発行を頼んだ
2023年8月1日、僕は弁護士から案内された資料を集め始めました。
日記に残っている勤務先関係の資料は、過去1年分の給与明細、過去2年分の源泉徴収票、現在の退職金見込額が分かる資料などです。
ところが、2022年9月と12月の給与明細が見つかりませんでした。総務部へ再発行を頼みましたが、再発行はしてもらえませんでした。
僕は家や職場を探し回ることになりましたが、刺繍的に見つかることはありませんでした。給与明細をなくしただけなら珍しいことではないはずなのに、当時は総務へ声をかけるだけで、自己破産を疑われるのではないかと身構えていました。
裁判所も、個人の破産申立てで源泉徴収票や給与明細書などを提出書類の例として挙げています。ただし、必要な期間や資料は事件内容・申立先によって異なります。
▶︎参考:裁判手続 民事事件Q&A、破産申立ての必要書類|裁判所
給与明細や源泉徴収票を含む書類全体は、こちらの記事にまとめています。
会社員が準備する自己破産の必要書類についてはこちら

2退職金の資料を頼むことが、いちばん怖かった
給与明細以上に怖かったのが、退職金見込額の資料です。
在職中で実際に退職する予定がなくても、退職金に関する権利が財産確認の対象となり、見込額が分かる資料を求められる場合があります。
裁判所の案内には、退職金の見込額を確認する資料として、勤務先の証明書や退職金規程、計算書などを挙げる例があります。
僕は当時、勤続13年で係長でした。総務へ退職金見込額証明書を頼めば、なぜ必要なのかと疑われるのではないかと考えました。
会社の就業規則には退職金の計算方法が載っている可能性がありましたが、最新版を目立たずに確認することも簡単ではないと感じていました。
日記から確認できるのは、退職金見込額の分かる資料を準備したことまでです。
会社発行の退職金見込証明書を最終的に取得したのか、就業規則など別の資料で対応したのかは、確定できません。
そのため、会社へ知られたくない場合に、証明書は不要だと自己判断しないことが大切です。依頼する弁護士へ先に事情を話し、どの資料が必要か、代替資料が認められる可能性があるかを確認する必要があります。
退職金の評価方法や提出資料は、裁判所の運用や個別事情によって異なるため、全国一律の割合や方法では説明できません。
▶︎参考:破産・免責申立てに当たってのチェックポイント|札幌地方裁判所
3給与振込口座と社内積立てにも対応が必要だった
僕は給与の振込先にしていた銀行からもカードローンを借りていました。
受任通知後に口座が使えなくなる可能性があると説明を受け、2023年8月1日、総務部へ給与振込先の変更届を出しました。公共料金や携帯電話料金などの支払先も変更しました。
翌8月2日には、勤務先と関係する金融機関の口座について、取引履歴を取り寄せました。その口座には、給与天引きの積立てが月5,000円、別の積立てが月1,000円ありました。
窓口へ向かう途中、会社と関係する金融機関の担当者と顔を合わせたとき、胸が急に脈打ち、冷や汗が出たことを日記に書いています。
相手が何を知っていたのかは分かりません。それでも僕には、自分の事情をすべて見抜かれたように感じられました。
2023年8月17日には午前半休を取り、別の銀行の取引履歴を受け取りに行きました。
書類を1枚集めるたびに、手続きが進む安堵よりも、会社へ近づいてくるような警戒心のほうが強かった時期です。
| 場面 | 会社へ知られる可能性 | 本人が準備するもの | 会社への説明が必要か | 僕の体験 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 弁護士相談 | 勤務先が債権者でない場合などに、雇用主という理由だけで当然に通知先になるという公的案内は確認できない | 借入先、収入、財産、勤務先との債権関係など | 一律にはいえない | 2023年7月29日に相談。休暇使用の記録はない | 職場への連絡を避けたい事情は相談先へ伝える |
| 給与明細・源泉徴収票 | 再発行などを総務へ頼むと理由を聞かれる可能性がある | 指定期間の給与・収入資料 | 自己破産用と説明する必要があるかは個別確認 | 過去1年の給与明細、過去2年の源泉徴収票を準備。2か月分の給与明細が見つからず総務へ再発行を依頼 | 必要な期間や資料は事件・裁判所で異なる |
| 退職金資料 | 証明書を会社へ頼む場合は接点が生じる | 退職金見込証明書、退職金規程、計算資料など | 資料の取得方法による | 見込額資料を準備したが、会社発行証明書を取得したかは確認できない | 代替資料の可否を弁護士・裁判所へ確認。偽造・改ざんをしない |
| 勤務先からの借金 | 会社が債権者になれば知られる可能性が高い | 契約書、残高、返済履歴 | 必要になる可能性が高い | 勤務先からの直接借入れはなし | 債権者一覧から外さず、会社だけを優先返済しない |
| 給与差押え | 差押命令正本が勤務先へ送達される | 差押命令、債権の内容、滞納状況 | 勤務先が第三債務者として関与する | 給与差押えはなし | 税金等の滞納処分と一般債権を区別する |
| 管財人面談 | 僕の事件では面談を理由とする会社への通知は確認していない | 指定資料、身分証、追加説明資料 | 休暇の扱いは会社規程による | 2024年2月27日に有給を使い、弁護士同席で約1時間面談 | 平日日中になることがある。休暇理由は不明 |
| 債権者集会・裁判所出頭 | 僕の事件では出頭を理由とする会社への通知は確認していない | 期日通知、弁護士からの案内 | 休暇の扱いは会社規程による | 2024年5月9日に有給を使い東京地方裁判所へ出頭 | 事件・裁判所により出頭回数や方法が異なる |
| 官報 | 公開情報なので閲覧される可能性はゼロではない | 特別な準備なし | 報告の要否は就業規則や職種等を個別確認 | 官報を理由に会社から指摘された事実は確認できない | 掲載と勤務先への個別通知を混同しない |
| 資格制限 | 制限対象の資格・業務なら会社との調整が必要になる場合がある | 資格名、実際の担当業務、就業規則 | 職種・業務への影響による | DTP・デザイン業務と係長職を継続 | 社内役職名と法律上の資格制限は別 |

6勤務先が関係すると
会社へ知られる
可能性が上がる
1僕に勤務先からの直接の借入れはなかった
僕は勤務先そのものからお金を借りていたわけではありません。会社からの貸付けや社内融資を利用した事実は確認できません。
ただし、勤務先から借金をしている場合は、会社が債権者になる可能性があります。債権者として手続きの通知を受ければ、会社へ知られる可能性は高くなります。
会社へ知られたくないからと債権者一覧から外したり、会社だけへ優先して返済したりせず、契約内容と返済状況を弁護士へ伝える必要があります。
2僕には給与差押えはなかった
僕の給与が実際に差し押さえられた事実はありません。
一般に給与差押えが行われると、差押命令の正本が第三債務者である勤務先へ送達されるため、勤務先に借金問題を知られる可能性が高くなります。
差押え可能な範囲には法律上の制限がありますが、税金などの滞納処分は一般の債権とは扱いが異なります。
また、自己破産を申し立てれば、どの給与差押えもその日に解除されるとは断定できません。債権の種類や手続きの段階で扱いが異なるため、差押命令が届いている場合は早めに専門家へ伝える必要があります。
▶︎参考:ワンストップ執行手続、勤務先情報に関する情報取得手続|東京地方裁判所
3給料や賞与がすべて取られると思っていた
当時の僕は、自己破産をすると、働いて得た給料やボーナスまで全部なくなるように考えていました。
実際には、破産手続開始時点に持っている財産と、その後に得る収入は分けて考える必要があります。
破産法34条1項では、破産手続開始時に破産者が持つ財産を破産財団の基本的な範囲としています。そのため、開始後に得た給与などは一般に新得財産と考えられますが、開始前後の時期、口座残高、財産の内容などは個別に確認する必要があります。
▶︎参考:破産法|e-Gov法令検索
僕の場合、2023年12月15日に支給された約50万円の冬の賞与は、弁護士事務所との取り決めに沿って全額を預り金として振り込みました。
これは、会社員の賞与が一般にすべて没収されるという意味ではなく、僕の契約と費用準備の経過です。
7総務担当の
取締役1名へ
自己破産を伝えた
1交通費の振込口座が、会社との接点になった
今回の記事で、いちばん僕の実体験を正確に書いておきたい部分です。
勤務先では、会社と関係の深い金融機関の口座へ、半年に一度、交通費が振り込まれる決まりになっていました。
僕はその金融機関から借入れがあり、受任通知後は口座が凍結されていました。
交通費がその口座へ入った場合にどのような扱いになるのか、手続き上の問題が生じないか不安になり、別の受け取り方法へ変える必要がありました。
まず総務部の担当者へ変更できないか尋ねると、特別な事情がなければ難しく、総務担当の取締役が判断するとのことでした。
ここで僕は、もう説明を避けられないと腹をくくりました。
2役員室で事情を話した
後日、重い足取りで役員室へ向かい、総務担当の取締役に自己破産手続き中であることを伝え、交通費の受け取り方法を変えたいと相談しました。
取締役は変更を認め、僕の話を聞き、最後に励ましてくれました。口外しないとも言ってくれました。
ただし、僕が確認できるのは、取締役1名へ伝えたことと、その人から励ましを受けたことまでです。その後、社内の誰にどこまで伝わったかを完全に証明することはできません。
少なくとも、僕が把握している範囲では、自己破産について会社から指摘されたり、処分を受けたりした事実はありません。
また、直属の上司、同僚、部下へ自分から説明したという記録もありません。
会社全体に知られなかったとは書かず、総務担当の取締役1名には自分から伝えた、というのが正確な体験です。
この出来事から分かったのは、会社へ話すかどうかを抽象的に考えるだけでは足りないということでした。
給与口座、交通費、社内積立て、会社と関係する金融機関など、自分の勤務先特有の仕組みを確認する必要があります。

8管財事件と仕事を
並行して進めた
1平日は仕事、帰宅後は追加資料の確認だった
僕の事件は管財事件として進みました。
仕事では印刷物の納期があり、帰宅すれば家計表や通帳、取引履歴を確認する。資料を提出しても、記載に不一致があれば修正が必要です。
2024年2月13日には、提出した家計の収支が合わないと連絡を受け、再提出しました。
手続きを完璧にこなせたわけではありません。時間に余裕があるときから少しずつ整理しておけばよかったのに、仕事の忙しさを理由に後回しにしたくなることもありました。
その結果、期限が近づくほど、会社の予定と手続きの予定の両方に追われました。
管財事件の制度上の違いは、こちらの記事で整理しています。
同時廃止と管財事件の違いについてはこちら
2申立ては2024年2月20日だった
2024年2月19日、弁護士から、翌20日に東京地方裁判所へ申立てを行うというメールが届きました。2月20日、申立てが受理されたとの連絡を受けています。
申立日は平日でしたが、弁護士が裁判所で手続きを進めたため、僕自身がこの申立てのために仕事を休んだという記録はありません。
ただ、申立てが終われば仕事との両立も終わるわけではありませんでした。
破産管財人との面談を2024年2月27日に行うことが決まり、勤務調整が必要になりました。
| 段階 | 自己破産側で行ったこと | 仕事側で必要だった対応 | 勤務調整 | 会社へ伝えたこと | 当時の気持ち | 詳細記事 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 弁護士相談 | 2023年7月29日に借金940万円、借金原因、収支を相談 | 相談日を確保 | 休暇使用の記録なし | 相談について会社へ説明した記録なし | 恥、恐怖、現実を認める緊張 | 6-3 |
| 正式依頼 | 受任通知の送付、支払い窓口の変更 | 給与振込口座などを確認 | 不明 | 2023年8月1日に総務へ給与口座変更届を提出 | 返済が止まる安堵と勤務先へ知られる警戒 | 6-1 |
| 書類準備 | 給与明細、源泉徴収票、退職金見込額資料、通帳履歴などを収集 | 総務への再発行依頼、金融機関窓口へ訪問 | 2023年8月17日に午前半休 | 給与明細の再発行と給与口座変更を依頼。理由の詳細は不明 | 総務へ疑われる不安、窓口での動揺 | 3-3 |
| 費用準備 | 毎月5万円、2023年12月の賞与約50万円を取り決めに沿って弁護士事務所へ入金 | 収入を維持 | 通常勤務 | 会社へ費用目的を説明した記録なし | 生活費を確保しながら準備する重さ | 1-4 |
| 申立て | 2024年2月20日に東京地方裁判所へ申立て | 通常勤務 | 本人が申立てのため休んだ記録なし | 説明した記録なし | 手続きが現実に進む緊張 | 3-1 |
| 管財事件 | 家計表、取引履歴、追加資料を提出 | 納期のある仕事と並行 | 帰宅後・休日の具体的作業日は一部不明 | 説明した記録なし | 疲労、焦り、提出不備への不安 | 3-5 |
| 管財人面談 | 2024年2月27日15時から約1時間、弁護士同席で面談 | 急な日程に合わせて仕事を調整 | 有給休暇 | 休暇理由は記録なし | 強い緊張、終了後の小さな安堵 | 2-3 |
| 債権者集会等 | 2024年5月9日に東京地方裁判所へ出頭 | 忙しい日に不在となる調整 | 有給休暇 | 休暇理由は記録なし | 職場への申し訳なさ、遅刻への不安 | 6-1 |
| 免責許可 | 2024年5月22日に弁護士から決定の連絡 | 同じ会社で勤務を継続 | 特別な調整の記録なし | 会社へ報告した記録なし | 安堵、生活再建への責任感 | 6-1 |
| 免責後 | カードや借入れに頼らない生活へ移行 | 同じDTP・デザイン業務を継続 | 通常勤務 | 会社への追加説明の記録なし | 仕事が生活の土台になる実感 | 4-1 |
9管財人面談と
債権者集会では
有給を使った
12024年2月27日の管財人面談
面談日が決まったのは2024年2月19日です。平日の候補日を早急に出すよう求められ、仕事の都合をつけて2月27日に有給休暇を申請しました。
当日は14時20分頃に現地へ着き、14時50分に担当弁護士と合流しました。15時から破産管財人の事務所で面談が始まり、時間は約1時間でした。
担当弁護士も同席し、質問の多くに対応してくれました。
僕の職場は普段スーツを着る仕事ではありません。面談にも普段に近い服装で向かいました。
何を聞かれるのか、仕事を休んでまで来たこの場で失敗しないかと緊張しましたが、確認できないことを作らず、追加で必要な資料には後から対応する方針で臨みました。
休暇理由として会社へ何と伝えたかは、日記に残っていません。そのため、自己破産と説明したとも、別の理由を述べたとも書けません。
私用休暇として申請できるかどうかを含め、実際の申請方法は勤務先の規程に従う必要があります。
僕が面談で確認された内容は、こちらの記事にまとめています。
ギャンブル借金940万円の管財人対応についてはこちら
22024年5月9日の債権者集会
債権者集会は2024年5月9日でした。この日は木曜日で、僕は有給休暇を使いました。
ちょうど仕事が忙しい時期で、職場へ負担をかけることが申し訳なく感じました。それでも、裁判所の期日は仕事が忙しいという理由だけで後回しにはできません。
東京地方裁判所には待ち合わせの30分前に到着しました。遅刻する不安のほうが強く、早すぎるくらいでよいと思っていました。
債権者集会の詳しい流れはここでは繰り返しませんが、僕自身が裁判所へ行ったこと、弁護士と同席したことは確認できています。
すべての自己破産で本人が何度も裁判所へ行くわけではありません。管財事件か同時廃止事件か、裁判所の運用、事件の内容で異なります。
相談から免責許可までの時系列全体は、こちらの記事で詳しく書いています。
働きながら進めた自己破産の全記録についてはこちら
10手続き中は会社に
知られている気がしていた
1何も言われていなくても、疑われているように感じた
僕は2024年1月末の時点で、会社に知られた形跡がないか気にしていました。
ただし、日記にあるのは、そう感じて自分なりに確認していたという事実までです。具体的に誰へ何を尋ねたかは書かれておらず、架空の会話は作れません。
給与振込口座の変更、給与明細の再発行依頼、取引履歴の取得。実際には、それぞれ単独なら自己破産と直結しない手続きかもしれません。
しかし、僕の中ではすべてが一本の線につながり、総務や金融機関の担当者はもう知っているのではないかと考えていました。
その不安が現実の接点になったのが、交通費の口座変更でした。それでも、総務担当の取締役へ話した後も普段の仕事は続きました。
会社に知られた瞬間に仕事が終わるという僕の想像と、実際に起きたことは同じではありませんでした。

2官報から会社へ知られる可能性はゼロではない
破産手続では官報公告があります。官報は公開情報なので、会社の人が閲覧する可能性をゼロとはいえません。
一方で、官報に載ることと、勤務先へ個別に通知されることは別です。
僕が把握している範囲では、官報を見たことを理由に会社から指摘された事実はありません。ただし、誰も見ていないと証明できるわけでもありません。
▶︎参考:官報について|独立行政法人国立印刷局
官報の掲載時期や閲覧方法は、こちらの記事で整理しています。
官報から会社へ知られる可能性についてはこちら
3戸籍・住民票・マイナンバーは官報と別の制度
当時は、会社へマイナンバーを提出しているのだから、自己破産の情報まで分かるのではないかという不安もありました。
しかし、戸籍・住民票・マイナンバーと官報公告は別の制度です。
デジタル庁は、民間事業者がマイナンバーを利用できる場面は、社会保障・税・災害対策などの法令等で定められた手続に限られると案内しています。
勤務先へマイナンバーを提出していることと、勤務先が破産手続の情報を自由に確認できることは別です。
▶︎参考:よくある質問、民間事業者におけるマイナンバーの取扱い|デジタル庁
戸籍・住民票を含む公的書類との関係は、こちらの記事で詳しく確認してください。
自己破産と戸籍・住民票・マイナンバーの関係についてはこちら
| 当時の不安 | 僕が想像していたこと | 一般的な制度 | 僕の実体験 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|---|
| 会社への通知 | 裁判所や弁護士から会社へすぐ連絡が行く | 雇用主という理由だけで当然に通知先になるという公的案内は確認できない。会社が債権者や差押え先なら接点が生じる | 交通費口座の対応が必要になり、自分から取締役1名へ説明 | 5-1、5-2 |
| 解雇 | 自己破産した瞬間に仕事を失う | 雇用が自動終了する制度ではない。実際の解雇の有効性は個別事情で判断される | 解雇なし | 5-2 |
| 係長から降格 | 信用を失い、役職から外される | 社内評価・人事は会社や事情で異なる。係長という役職名と資格制限は別 | 降格・配置転換・懲戒の事実なし | 4-4、5-2 |
| 給与没収 | 働いても給料をすべて取られる | 開始時点の財産と開始後の収入は区別される。個別の財産状況は確認が必要 | 給与を受け取りながら勤務を継続 | 5-2 |
| 賞与没収 | ボーナスは全額なくなる | 賞与だから一律に全額処分されるとはいえない。時期や財産状況で異なる | 2023年12月の賞与約50万円は、僕の取り決めにより弁護士事務所へ入金 | 1-3、5-2 |
| 退職金 | 退職させられ、退職金も全部なくなる | 在職中の退職金に関する権利が財産評価の対象になる場合がある。資料と評価は個別 | 退職せず、見込額資料を準備。会社発行証明書の取得有無は不明 | 1-3、5-2 |
| 官報 | 総務が見つけ、社内全体へ広がる | 官報は公開情報だが、掲載と勤務先への個別通知は別 | 官報を理由に会社から指摘された事実は確認できない | 5-4 |
| 戸籍・マイナンバー | 会社が破産歴を自由に照会できる | 戸籍・住民票・マイナンバーと官報・信用情報は別制度。マイナンバーの民間利用は法令等で定められた手続に限られる | これらを理由に会社から指摘された事実なし | 5-3 |
| 転職 | 今の会社を辞め、経歴にも自己破産を書かなければならない | 履歴書、資格、職種への影響は個別確認が必要 | 退職・転職せず同じ会社で勤務を継続 | 4-4 |
11自己破産しても
仕事そのものが
できなくなったわけではない
1係長という役職名と法律上の資格制限は別だった
裁判所は、破産手続開始決定によって法律上の資格制限を受ける場合があると案内しています。
どの資格や職業が対象になるかは、その職種を定める法律や具体的な業務の確認が必要です。
▶︎参考:裁判手続 民事事件Q&A、破産手続開始決定後の制限|裁判所
僕が行っていたDTPオペレーター・デザイナーの仕事や、社内の役職名である係長については、手続き中に法律上の資格制限で業務ができなくなった事実はありませんでした。
ただし、同じ制作職でも、別の資格業務や会社役員としての地位などを兼ねていれば、違う論点が生じる可能性があります。
職種名だけで決めず、実際の資格と業務内容を弁護士へ確認する必要があります。
22024年5月22日、免責許可決定の連絡を受けた
2024年5月22日13時頃、弁護士事務所からメールで免責許可決定の連絡が来ました。
日記には、短く「免責許可がおりた」「やった」と書いてあります。
それまで会社に知られること、仕事を失うこと、手続きで失敗することを恐れ続けていた僕にとって、ようやく先へ進めると感じた瞬間でした。
ただし、5月22日は弁護士事務所から連絡を受けた日です。免責許可決定が法的に確定した日とは断定していません。
その後も僕は同じ会社で働き続けました。翌日から仕事の内容が急に変わったわけではなく、自己破産したからDTPの技術や、これまでの実務経験が消えるわけでもありませんでした。
私生活の失敗と、仕事で担う責任を同じものとして考える必要はなかったのだと、少しずつ思えるようになりました。
毎月の返済に追われる時間が減り、働いて得た収入を生活のために使えるようになったことも、再建の大きな支えでした。
免責後の暮らし全体は、こちらの記事で振り返っています。
自己破産後のリアルな生活についてはこちら

12よくある質問
FAQ
- Q1.会社員でも仕事を辞めずに自己破産できますか?
A.仕事を辞めることが自己破産の一律の条件ではありません。
僕は会社員として働きながら手続きを進め、免責許可決定の連絡後も同じ会社で働きました。ただし、資格、勤務先からの借入れ、給与差押えなどの事情は個別に確認が必要です。 - Q2.自己破産したことを会社へ伝える必要がありますか?
A.すべての会社員に共通する一律の自己申告義務があるとはいえません。
ただし、就業規則、資格、会社貸付、退職金資料などで説明が必要になる場合があります。自分だけで判断せず、勤務先との接点を弁護士へ伝えて確認してください。 - Q3.弁護士や裁判所から会社へ連絡されますか?
A.裁判所の案内では、破産手続開始決定の通知を受ける相手として債権者が示されています。
僕が確認した公的資料では、勤務先が債権者ではなく、給与差押えなどもない場合に、雇用主という理由だけで当然に通知先になるという案内は確認できませんでした。
一方、会社が債権者である場合や、給与差押えで勤務先が第三債務者になる場合は会社との接点が生じます。
僕は交通費の口座対応のため、自分から総務担当の取締役へ説明しました。 - Q4.退職金見込証明書を頼むと自己破産が知られますか?
A.証明書の依頼理由を尋ねられる可能性はありますが、依頼しただけで自己破産だと判断されるとは限りません。
会社発行の証明書以外を使えるかは、裁判所や事件によって異なります。弁護士へ会社に知られたくない事情を伝え、必要資料を確認してください。 - Q5.管財人面談や債権者集会のため仕事を休みますか?
A.平日日中に予定され、勤務調整が必要になる場合があります。
僕は2024年2月27日の管財人面談と、2024年5月9日の債権者集会で有給休暇を使いました。すべての事件で同じ回数の出頭が必要になるわけではありません。
13まとめ|
働き続けたことが
生活再建の土台になった
- 僕は制作部の係長として働きながら、借金940万円の自己破産手続きを進めました。
- 会社員で収入があることを理由に、返済不能を認めるのが遅れました。
- 給与明細、源泉徴収票、退職金見込額など、勤務先に関係する資料を準備しました。
- 勤務先と関係の深い金融機関の口座対応のため、総務担当の取締役1名へ事情を伝えました。
- 僕に勤務先からの直接の借入れや給与差押えはありませんでした。
- 管財人面談と債権者集会では有給を使いましたが、休暇理由は資料から確認できません。
- 自己破産だけで仕事が自動的に終わるわけではありませんが、資格、就業規則、会社との債権関係などは個別確認が必要です。
- 2024年5月22日に免責許可決定の連絡を受けた後も、僕は同じ会社で働き続けました。
- 僕の勤務先で起きたことを、すべての会社員や会社へ一般化することはできません。
今振り返ると、僕に必要だったのは、会社を辞めるかどうかを一人で思い詰めることではなく、仕事を続けたまま何ができるのかを早く確認することでした。
自己破産をした事実だけで、仕事で身につけた技術や経験までなくなるわけではありません。
僕にとって働き続けることは、生活を立て直し、同じ失敗を繰り返さないための現実的な土台になりました。
▶︎参考:裁判手続 民事事件Q&A|裁判所
▶︎参考:ワンストップ執行手続、勤務先情報に関する情報取得手続|東京地方裁判所
▶︎参考:破産・免責申立てに当たってのチェックポイント|札幌地方裁判所
▶︎参考:労働契約法に関するQ&A|厚生労働省
▶︎参考:労働契約法|e-Gov法令検索
▶︎参考:破産法|e-Gov法令検索
▶︎参考:官報について|独立行政法人国立印刷局
▶︎参考:よくある質問、民間事業者におけるマイナンバーの取扱い|デジタル庁
▶︎参考:民事法律扶助業務|法テラス
この記事は、自己破産を経験した運営者の実体験と、公的機関・法律情報をもとに作成しています。
ただし、自己破産・債務整理の判断は、借金額、収入、財産、家族構成、借金の理由、住んでいる地域、申立てをする裁判所によって変わる場合があります。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。実際に手続きを検討する場合は、弁護士・司法書士・法テラスなどに相談してください。
最終確認日:2026年8月13日











