【4-4】自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響

この記事を書いた人:さんぱちさんぱちプロフィール画像-丸
38歳で、ギャンブル・浪費などによる借金940万円を自己破産。
実際の経験をもとに、借金や自己破産に悩んでいる方へ情報を発信しています。
▶︎プロフィールを見る

※当サイトでは今後アフィリエイト広告を掲載する場合があります。この記事は、僕自身の自己破産経験と公的情報をもとにした一般的な内容です。借金額、収入、財産、借金の理由、家族構成、裁判所の運用などによって判断は変わります。具体的な判断は、弁護士・司法書士などの専門家に相談してください。

己破産したら、会社をクビになり、もう転職もできないのではないか。

940万円の借金を抱えていた頃、僕は本気でそう思っていました。印刷会社の制作部でDTPオペレーター兼デザイナーとして働き、係長でもあったからです。借金の事情を知られれば、仕事の信用まで失い、職場にいられなくなると思い詰めていました。

実際には、僕は自己破産の手続き中も、免責許可決定の連絡を受けたあとも、同じ会社で働き続けています。ただし、誰にも知られずに終わったわけではありません。交通費の受取方法を変更するため、総務担当の取締役一人へ事情を説明しました。

この記事では、僕の実体験と一般的な制度を分けて、今の仕事を続けられるのか、転職時の履歴書や面接で申告が必要なのか、どの資格・職業に制限があり得るのかを整理します。

先に結論
  • 自己破産だけで、会社員が当然に解雇されるわけではありません
  • 自己破産後も、一般的には就職・転職活動ができますが、採用結果まで保証されるわけではありません
  • 一般的な履歴書に自己破産歴を書く標準欄はなく、面接で自分から必ず話す全国一律の法律上の義務も一般的にはありません
  • 金融機関であっても、CICの信用情報を社員採用試験に使うことは認められていません
  • 警備員、保険募集人、宅建士などは、破産手続開始決定から復権まで制限される場合があります
  • 会社への報告や資格への影響は、辞職を決める前に担当弁護士と所管機関へ確認することが大切です

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵01

1 自己破産しても仕事・
転職全面禁止
されるわけではない

1一般の就労を一律に禁止する制度ではない

己破産は、借金と財産を法律に沿って整理し、免責を目指す手続きです。自己破産した人が働くことや、就職・転職活動をすることを全面的に禁止する制度ではありません。

一般の会社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトも、自己破産だけで一律に就業できなくなるわけではありません。法テラス東京法律事務所も、自己破産した人の就職が一般的に禁止されているわけではないと案内しています。
▶︎参考:法テラス東京法律事務所だより2025年1月|日本司法支援センター 法テラス

ただし、法律上働けることと、希望する会社へ必ず採用されることは別です。採用基準は会社ごとに異なり、資格・登録、実際の担当業務、社内規程によって確認が必要になる場合があります。

自己破産と免責の基本から確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

自己破産とは?借金が免除される仕組みと利用できる条件

2自己破産だけで解雇が自動的に決まるわけではない

己破産したという事実だけで、労働契約が自動終了する制度ではありません。

労働契約法16条は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇を、権利濫用として無効と定めています。そのため、私生活上の自己破産だけを理由とする解雇が、当然に有効になるとは限りません。

一方で、自己破産を理由にした解雇は必ず無効だとも言い切れません。資格制限で担当業務ができない、会社資金の流用など別の不正がある、必要な届出で虚偽説明をした、といった事情は分けて判断されます。

解雇や退職勧奨を受けた場合は、その場で退職届を提出したり、合意書へ署名したりせず、会社が示した理由と書類を保管して、弁護士や労働相談窓口へ確認してください。
▶︎参考:労働契約法第16条|e-Gov法令検索
▶︎参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

3法律上の影響と、自分を責める気持ちは分ける

2023年7月29日に初めて弁護士事務所を訪れた頃、借金だけでなく、係長として積み重ねた信用も失うと思っていました。

会社のお金を使い込んだ事実はありません。それでも、ギャンブルやFX、浪費を含む借金の事情を知られれば、金銭管理のできない人間だと思われるのではないか。会社を辞めて先に逃げた方がよいのではないか。そこまで考えていました。

しかし、自己破産をしても、僕のDTPの経験や、制作現場で身につけた知識まで消えたわけではありませんでした。制度上の仕事への影響と、借金をした自分への自己否定は別の問題です。

 

 

2会社知られる・
報告必要になる
ケース

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵02

1一般の会社員に全国一律の報告義務があるわけではない

般の会社員について、自己破産した事実だけを理由とする全国一律の法律上の報告義務は、一般的にはありません。

ただし、資格・登録、役員の地位、就業規則、勤務先との金銭関係によっては、確認や届出が必要になる場合があります。次に当てはまるときは、自己判断で黙ったままにせず、担当弁護士へ確認します。

  • 就業規則や雇用契約に、資格・登録・信用状態などの届出条項がある
  • 破産手続中に制限される資格を仕事で使っている
  • 会社役員や許認可上の責任者になっている
  • 勤務先、共済、労働組合、会社経由の金融機関などから借りている
  • 給与差押えや税金の滞納処分が進んでいる

就業規則に届出条項があるからといって、自己破産だけで自動的に解雇できるとは限りません。それでも、資格が使えない期間に黙って業務を続けたり、事実と異なる届出をしたりすると、別の問題になるおそれがあります。

2会社に知られる可能性が高まる場面を分けて考える

己破産を申し立てると、裁判所から勤務先へ一律に通知されるわけではありません。ただし、勤務先が債権者になっている場合や、勤務先を手続きへ関与させる事情がある場合は、知られる可能性が高まります。

会社に知られる可能性が高まる場面 なぜ会社が関わるのか 先に確認すること
勤務先・共済・労働組合などからの借入れ 債権者として申告し、通知が届く可能性がある 借入先の正式名称、残高、会社との関係
会社を窓口とする金融機関からの借入れ 返済・口座変更・債権者通知で勤務先との調整が生じる場合がある 契約上の貸主、給与・交通費の振込先
給与差押え 勤務先が第三債務者として差押命令を受ける すでに差押えがあるか、税金滞納か民事債務か
退職金・給与関係の資料 申立て資料の取得理由を会社から尋ねられる場合がある 手元の資料や代替資料で確認できるか
資格・登録の制限 配置変更や業務停止の調整が必要になる場合がある 制限の開始時期、届出先、復権後の手続き
本人が会社へ説明する 口座や受取方法の変更などに説明が必要になる場合がある 誰へ、どこまで、どの順番で話すか

給与差押えは、自己破産したから新たに会社へ自動通知されるという意味ではありません。すでに債権者が給与差押えを申し立てている場合などに、裁判所から勤務先へ差押命令が送達されます。
▶︎参考:債権執行・債務名義に基づく差押え|裁判所

勤務先関係の必要書類と、退職金の財産上の扱いは、こちらの記事を確認してください。

自己破産の必要書類一覧|集め方・取得場所・注意点

自己破産で処分される財産・残せる財産

3僕は口座変更を進め、交通費のことで取締役へ話した

の場合、勤務先そのものから借りていたわけではありません。ただし、仕事に関係する二つの口座変更が必要になりました。

一つ目は、給与振込先だったM銀行です。M銀行にも借入れがあったため、2023年8月1日、会社へ給与口座変更届を提出しました。日記で確認できるのは、総務へ変更届を出したところまでです。

二つ目は、会社を窓口として利用していたA信用金庫です。僕はA信用金庫にも借入れがあり、半年分の交通費もその口座へ振り込まれていました。手続中の入金をどう扱うべきか確認したうえで、2024年1月31日、交通費の受取方法を変えられないか総務部の後輩へ相談しました。

判断できるのは総務担当の取締役だけだと聞き、僕は腹をくくりました。役員室へ向かう足は重く、自己破産のことを口にした瞬間、取締役の驚いた顔が見えました。結婚の報告だと思っていたそうです。

それでも話を最後まで聞き、変更を認め、最後に「がんばってくれ」と言ってくれました。ほかの人へ話さないとも約束してくれました。

日記で確認できるのは、取締役が口外しないと約束したところまでです。会社全体へ広まらなかった、誰にも気づかれなかった、とまでは断定できません。一方、解雇、降格、異動を命じられた記録もありません。

これは僕の勤務先と口座事情で必要になった対応です。自己破産する人が全員、給与口座や交通費口座を変更し、会社へ報告しなければならないという意味ではありません。資金移動や入金先を変える前に、担当弁護士へ確認してください。

自己破産が会社や家族へ知られる主な経路は、こちらの記事で整理しています。

働きながら資料を集め、会社へ説明した詳しい経緯は、こちらの記事にまとめています。

自己破産は家族や会社にバレる?知られる原因と対策

会社員が働きながら自己破産した体験談|仕事との両立と会社への説明

 

 

 

3自己破産後
就職・転職
履歴書・面接

1自己破産後も一般的には転職活動ができる

己破産後も、一般的には求人へ応募し、選考を受け、転職活動ができます。一般の職種について、自己破産歴を理由に応募そのものを一律禁止する法律上の制度はありません。

厚生労働省は、公正な採用選考では応募者の適性・能力を基準とし、採用目的に必要な範囲で情報を収集することが大切だと案内しています。
▶︎参考:公正な採用選考の基本|厚生労働省

ただし、採用結果は、経験、能力、年齢、求人状況、資格、面接内容などを含めて会社が判断します。自己破産後でも必ず採用される、反対に自己破産したから必ず不採用になる、というどちらの断定もできません。

2一般的な履歴書に自己破産歴の標準記載欄はない

厚生労働省の履歴書様式例を含め、一般的な履歴書や職務経歴書には、自己破産歴を書く標準欄はありません。すべての応募書類へ自己破産歴を必ず記載する全国一律の法律上の義務も、一般的にはありません。

そのため、一般的な履歴書へ破産歴を書かなかったことだけで、直ちに経歴詐称になるとは言い切れません。ただし、応募先が職務との関係で個別に確認した事項や、資格・登録の状態は別に考えます。
▶︎参考:履歴書・職務経歴書の書き方|ハローワークインターネットサービス

次の内容は正確に記載します。

  • 実際の職歴、役職、在籍期間
  • 現在有効な資格・登録
  • 復権前で使えない資格や、登録手続き中の資格
  • 求人票や応募書類で明確に確認された、職務に関係する事項

資格を使えない状態なのに「現在も有効」と書いたり、在籍していない会社を職歴へ加えたりしてはいけません。破産歴そのものと、職歴・資格の真偽は分けて考えます。

3面接では職務に関係する事実を正確に答える

かれていない自己破産歴を、すべての面接で自分から必ず話す全国一律の法律上の義務も、一般的にはありません。

一方、応募する仕事で必要な資格の有効性、現在の登録状況、担当できる業務について質問された場合は、事実と異なる回答をしないことが大切です。

面接で個人の信用情報や自己破産について尋ねられたときは、慌てて広い範囲の事情まで話す前に、質問の目的と応募職種との関係を確認します。採用後に必要な資格があるなら、現在の状態と業務開始までの見通しを正確に説明します。

僕は自己破産後に転職していないため、実際の転職面接でどのように聞かれたか、何と答えたかという体験談は書けません。ここは僕の経験ではなく、公的情報と一般的な考え方として整理しています。

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵03

 

 

4採用企業
信用情報・官報
確認できる範囲

1金融機関でもCICを採用目的で照会できない

融機関へ応募すると、会社がCICの信用情報を確認するのではないか、と不安になる人もいると思います。

CICは、加盟会員が信用情報を利用できる目的を、与信判断・与信管理などに限定しています。社員採用試験の参考にするため信用情報を利用した場合は、利用停止や加盟契約解除などの対象になると明記しています。

つまり、金融機関であっても、採用試験のためにCICの信用情報を照会することは認められていません。一般企業が採用目的で自由に閲覧できるものでもありません。
▶︎参考:信用情報の利用|株式会社シー・アイ・シー

また、CICは2026年5月22日、第三者が本人へ「信用情報開示報告書」の提出を求める行為について、制度趣旨と関係法令を踏まえ、極めて慎重に検討するよう公表しました。

応募先から提出を求められた場合は、利用目的、必要性、保管方法を確認し、判断に迷うときはCICや弁護士などへ相談します。
▶︎参考:消費者に対して「信用情報開示報告書」の提出を求める行為に関して|株式会社シー・アイ・シー

信用情報の登録やカードへの影響は、こちらの記事で説明しています。

自己破産後のクレジットカード|使えない期間と代替手段

2官報は公開情報だが、全企業へ自動通知されるわけではない

産手続開始決定や免責許可決定は官報へ公告されます。官報は公開情報なので、採用企業や勤務先が自ら確認すれば、掲載を知る可能性はあります。

ただし、官報に掲載された情報が全国の会社へ自動通知されたり、一般的な履歴書選考で必ず検索されたりする制度ではありません。

2025年4月1日に開設された内閣府の官報発行サイトでは、発行から原則90日間、官報全体を無料で閲覧できます。個人を対象とする処分の記事などは画像化され、テキスト検索を困難にしたうえで、90日経過後は閲覧できなくする措置が取られています。

一方、過去の官報を検索できる有料サービスもあります。そのため、90日を過ぎれば破産情報を誰も確認できない、とまでは言えません。
▶︎参考:ご利用に当たって|内閣府 官報発行サイト
▶︎参考:官報情報検索サービス|独立行政法人国立印刷局

官報へ掲載される時期や、家族・勤務先に知られる可能性は、こちらの記事で詳しく整理しています。

自己破産で官報に載るとバレる?掲載内容・期間・検索方法

3金融業界だから一律に働けないわけではない

行、信用金庫、保険会社、貸金業者などの金融業界全体について、自己破産したことだけを理由に就職を一律禁止する法律上の制度は、一般的にはありません。

ただし、保険募集人など個別の登録資格を使う仕事、会社の許認可に関わる役職、現金や顧客資産を扱う担当業務、社内の申告規程は別に確認が必要です。

金融業界への転職では、「信用情報を見られるか」だけで考えず、応募する職種に資格・登録・許認可上の条件があるかを求人票と所管機関で確認します。

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵04

 

 

5自己破産中
制限される可能性がある
資格・職業

1制限の中心は破産手続開始決定から復権まで

格・職業制限は、自己破産を検討した日から一生続くものではありません。多くの欠格条項では、破産手続開始決定を受けて復権を得ない者が対象です。

破産法255条では、免責許可決定が確定したときなどに復権すると定めています。免責許可決定の連絡を受けた日と、その決定が確定した日は同じとは限りません。

僕の場合、2024年5月22日に免責許可決定の連絡を受けましたが、日記だけでは確定日を確認できません。そのため、僕の復権日を5月22日と断定しません。
▶︎参考:破産法第255条・第256条|e-Gov法令検索

自己破産の段階ごとの期間は、こちらの記事で整理しています。

自己破産にかかる期間|同時廃止・管財事件別スケジュール

2警備員・保険募集人・宅建士などは個別法を確認する

の表は代表例です。すべての資格を網羅した一覧ではありません。資格試験への合格、登録、実際の業務、法人の役員要件は同じではないため、所管機関と担当弁護士へ確認してください。

職種・資格 制限される可能性がある内容 主な根拠法令 復権後に確認すること
警備員・警備業者 復権前は警備業を営むことや、警備員として警備業務へ従事することが制限される 警備業法第3条・第14条 配置、認定、届出などを勤務先・公安委員会へ確認
保険募集人 生命保険募集人などの登録で拒否事由に該当する可能性がある 保険業法第279条 再登録や社内手続きの要否を所属会社・財務局へ確認
宅地建物取引士・宅建業者 宅建士登録や宅建業免許、役員要件などで欠格事由に該当する可能性がある 宅地建物取引業法第5条・第18条 登録・免許・役員変更の手続きを都道府県などへ確認
行政書士 行政書士となる資格の欠格事由に該当する 行政書士法第2条の2 再登録などを行政書士会へ確認

警備会社の一般事務、保険会社のシステム担当、不動産会社のすべての事務職まで、表の資格職と同じように一律制限されるとは限りません。会社名や業界名ではなく、実際に資格を使う業務かを確認します。

3会社役員・公務員は別の仕組みで確認する

式会社の取締役について、現在の会社法331条は、破産者であることを取締役の欠格事由として列挙していません。その意味で、「自己破産すると会社役員に一生なれない」という説明は正確ではありません。

ただし、会社法330条では株式会社と取締役の関係は委任に従うとされ、民法653条では、委任者または受任者が破産手続開始決定を受けると委任が終了すると定めています。

現職の取締役は、退任、再任、登記、会社の許認可への影響を個別に確認する必要があります。
▶︎参考:会社法第330条・第331条|e-Gov法令検索
▶︎参考:民法第653条|e-Gov法令検索

また、国家公務員法38条と地方公務員法16条の一般的な欠格条項には、自己破産は挙げられていません。ただし、特定の職種で別の資格を使う場合や、共済・職員貸付の債務がある場合は別に確認します。
▶︎参考:国家公務員法第38条|e-Gov法令検索
▶︎参考:地方公務員法第16条|e-Gov法令検索

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵05

 

 

6退職・転職・
会社報告決める前
チェックリスト

1七つの項目を順番に確認する

安になると、知られる前に辞めた方がよい、転職すれば解決する、と一気に決めたくなります。しかし、退職によって収入が途切れると、申立費用や生活費の準備が難しくなる場合があります。

次の順番で確認してください。

  1. 現在の職種と、実際に担当している業務
  2. 仕事で使う資格・登録・許認可
  3. 破産申立て前、開始決定後、免責決定後、確定後のどの段階か
  4. 就業規則、雇用契約、社内規程に届出条項があるか
  5. 勤務先・共済・労働組合・会社経由の金融機関に債務があるか
  6. 給与差押え、給与口座、退職金資料などで会社の協力が必要か
  7. 会社へ話す前、退職届を出す前に担当弁護士へ確認したか

2会社への説明は必要な相手と範囲を絞る

社へ説明が必要な場合も、同僚全員へ詳しい借金の原因まで話す必要があるとは限りません。

人事・総務、直属の上司、資格管理の担当者など、手続きに必要な相手を確認します。そのうえで、業務・口座・登録に関係する範囲を説明し、社内での情報共有範囲も尋ねます。

ただし、会社へ知られないようにするために、口座、借入れ、役職、資格を弁護士へ隠してはいけません。まず担当弁護士へすべて伝え、そのあと会社への説明方法を相談します。

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵06

 

 

7会社員として
働きながら
自己破産した記録

1940万円の借金と仕事を失う恐怖を抱えて相談した

が初めて弁護士事務所を訪れたのは、2023年7月29日です。借金は940万円まで増え、利息も家賃も払えず、親からもこれ以上は貸せないと伝えられていました。

日記には「残るのは死か自己破産」とまで書いています。それほど追い詰められていました。

暑い土曜日、僕は弁護士事務所まで歩きました。それでも、相談すればすぐ会社へ連絡されるのではないか、係長を外されるのではないか、と怖くてたまりませんでした。

借金の整理だけでなく、翌月の家賃と職場での居場所まで同時になくなるように感じていました。

実際には、弁護士へ相談したことだけを理由に会社全体へ連絡が入ったわけではありません。僕は給与明細、源泉徴収票、退職金見込額を確認する資料などを集めながら、同じ会社で仕事を続けました。

退職金の資料を頼めば自己破産が知られるのではないかと、社内の規程を見るだけでも緊張していました。

2手続きの日は有給を使い、同じ仕事へ戻った

2024年2月20日に東京地方裁判所へ自己破産を申し立て、2月27日に破産管財人と面談しました。

遅刻だけはできないと思い、面談開始の40分前には到着していましたが、待っている間も足が震えていました。

債権者集会は2024年5月9日で、5月22日の午後1時ごろ、弁護士事務所から免責許可決定の連絡を受けました。

管財人面談や債権者集会には有給休暇を使い、手続きの日が終われば、また印刷会社の仕事へ戻りました。

僕の記録では、自己破産を理由とする解雇、降格、異動は確認できません。だからといって、すべての人が同じ結果になるとまでは言えません。

僕が伝えられるのは、940万円の借金を抱えて自己破産し、僕の場合は同じ会社で働き続けたという事実です。

3自己破産後の転職体験としては語れない

は自己破産後に転職していません。履歴書へ破産歴を書いて応募した経験も、面接で破産について質問された経験も、不採用になった経験もありません。

そのため、転職部分を僕の成功体験として見せることはできません。この記事では、現在の会社で働き続けた記録と、転職時に確認すべき一般的な制度を分けています。

会社へ話した経緯や、手続きと仕事を両立した全時系列は、こちらの記事で詳しくまとめています。

会社員が働きながら自己破産した体験談|仕事との両立と会社への説明

『自己破産後の就職・転職|履歴書・面接・資格制限への影響』の挿絵07

 

 

8よくある質問
FAQ

  • Q1.自己破産すると会社をクビになりますか
    A.自己破産だけで労働契約が自動終了するわけではありません。
    ただし、資格制限で担当業務ができない場合や、別の不正行為がある場合などは個別判断になります。解雇や退職勧奨を受けたら、理由と書類を保管して相談してください。
  • Q2.自己破産を会社へ報告する必要がありますか
    A.一般の会社員について、自己破産した事実だけを理由とする全国一律の法律上の報告義務は、一般的にはありません。
    ただし、就業規則の届出条項、資格・登録、役員の地位、勤務先関係の借入れがある場合は、会社へ話す前に担当弁護士へ確認します。
  • Q3.履歴書や面接で自己破産歴を伝えますか
    A.一般的な履歴書に自己破産歴を書く標準欄はなく、聞かれていない面接で自分から必ず話す全国一律の法律上の義務も、一般的にはありません。
    ただし、職歴、資格、登録状況など、職務に関係する質問へ事実と異なる回答をしてはいけません。
  • Q4.採用企業はCICの信用情報を見られますか
    A.一般企業が採用目的で自由に閲覧できるものではありません。CICは、加盟会員による社員採用試験への利用も制裁対象としています。
    本人開示報告書の提出を求められた場合は、目的と取扱いを確認してください。
  • Q5.資格制限はいつまで続きますか
    A.資格ごとに異なりますが、破産手続開始決定から復権までを制限期間とする例があります。
    免責許可決定の連絡日ではなく、決定の確定で復権する場合があるため、裁判所の書類と所管機関で確認します。
  • Q6.自己破産後に金融業界へ転職できますか
    A.金融業界全体への就職が一律に禁止されるわけではありません。
    ただし、保険募集人などの登録資格、担当業務、役職、会社の申告規程は個別に確認が必要です。

 

 

9まとめ|
自己破産後仕事は、
破産歴だけで決まらない

  • 自己破産だけで、会社員が当然に解雇されるわけではありません
  • 一般の仕事への就職・転職活動は、原則として一律禁止されていません
  • 一般的な履歴書に自己破産歴を書く標準欄はありません
  • 職歴、資格、登録状況について事実と異なる説明をしてはいけません
  • CICの信用情報を社員採用試験へ使うことは認められていません
  • 官報は公開情報ですが、すべての会社へ自動通知されるわけではありません
  • 警備員、保険募集人、宅建士などは、復権まで制限される場合があります
  • 会社への報告や退職は、職種・資格・借入先を整理してから判断します

940万円の借金を抱え、自己破産をすれば係長としての信用も、会社員としての居場所も失うと思っていました。

実際には、総務担当の取締役一人へ事情を説明しながら、同じ会社で働き続けました。2024年5月22日に免責許可決定の連絡を受けたあとも、翌日の生活費は必要で、仕事は生活を立て直す土台でした。

自己破産歴だけで、自分の経験や働く力までなくなるわけではありません。一方、資格制限や会社との金銭関係を無視してよいわけでもありません。

辞める前、隠す前、諦める前に、自分の職種と手続き段階を正確に伝えて確認する。

それが、仕事を守りながら借金問題を整理するための現実的な第一歩です。

自己破産後の暮らし全体は、こちらの記事で整理しています。

自己破産後の生活はどうなる?免責後1年間のリアルな変化

参考にした公的情報

▶︎参考:労働契約法|e-Gov法令検索
▶︎参考:法テラス東京法律事務所だより2025年1月|日本司法支援センター 法テラス
▶︎参考:公正な採用選考の基本|厚生労働省
▶︎参考:履歴書・職務経歴書の書き方|ハローワークインターネットサービス
▶︎参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
▶︎参考:債権執行・債務名義に基づく差押え|裁判所
▶︎参考:破産法|e-Gov法令検索
▶︎参考:信用情報の利用|株式会社シー・アイ・シー
▶︎参考:消費者に対して「信用情報開示報告書」の提出を求める行為に関して|株式会社シー・アイ・シー
▶︎参考:ご利用に当たって|内閣府 官報発行サイト
▶︎参考:官報情報検索サービス|独立行政法人国立印刷局
▶︎参考:警備業法|e-Gov法令検索
▶︎参考:保険業法|e-Gov法令検索
▶︎参考:宅地建物取引業法|e-Gov法令検索
▶︎参考:行政書士法|e-Gov法令検索
▶︎参考:会社法|e-Gov法令検索民法|e-Gov法令検索
▶︎参考:国家公務員法|e-Gov法令検索地方公務員法|e-Gov法令検索
▶︎参考:法律相談をするには|日本弁護士連合会

この記事は、自己破産を経験した運営者の実体験と、公的機関・法律情報をもとに作成しています。
ただし、自己破産・債務整理の判断は、借金額、収入、財産、家族構成、借金の理由、住んでいる地域、申立てをする裁判所によって変わる場合があります。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。実際に手続きを検討する場合は、弁護士・司法書士・法テラスなどに相談してください。
最終確認日:2026年8月4日

おすすめの記事